クリエイターへのインタビュー

業界再編を牽引するTenderfoot TVの活躍

それは、Donald Albright氏がヒップホップアーティストのマネジメントを始めて数年が経過した頃のことです。当時、Albright氏は何か新しいことに挑戦したいと考えていました。そんな頃、長年の付き合いのあるPayne Lindsey氏に新しいポッドキャストを作る話を持ち掛けられたのです。「いいですね。経験はありませんが、ぜひ一緒にやりましょう」。これが、Albright氏の返事でした。

Tenderfoot TVの共同創設者であるDonald Albright氏が、自分らしいやり方で、望む方向に業界を切り開いていく方法について語ります。

「ラッパーを大々的に売り込む手法が、そのままポッドキャストの宣伝に活用できる」。Albright氏がこう気がつくのに、さほど時間はかかりませんでした。Albright氏とLindsey氏がポッドキャスティングのカンファレンスに初めて参加した時には、プロモーション活動に参加するファンを広告トラックに乗せて連れて行ったことさえあります。2人の番組である「Up and Vanished」は瞬く間に評判となりました。

現在、Albright氏とLindsey氏の制作会社Tenderfoot TVは、人気の番組を多数抱えています。Albright氏は、珍しい経緯をたどってポッドキャスティング業界に参入していますが、このことこそが、「他にはない強み」だとAlbright氏は考えています。その過程で学んだ戦術、ツール、そして苦い経験についてApple Podcastチームに語ってくれました。

Apple Podcast(以下、AP):Donaldさん、こんにちは。時間を取ってくださって、ありがとうございます。Donaldさんの野心作である「Up and Vanished」について教えてください。これがビジネスになると気付いたのはいつですか?

Albright氏(以下、敬称略):私が手元のお金を注ぎ込んで2,500ドルの広告を買ったまさに同じ週に、Apple Podcastチームのメンバーが「Up and Vanished」についてツイートしたんです。カバーアートが気に入ったということで。その後、広告が掲載されたのと同じ週に、Apple Podcastの「新作と注目作品」で紹介されました。そこから、ポッドキャストがブレイクしたんです。月並みな表現になってしまいますが、自分を信じること、そしてタイミングがすべてです。

周りの人たちから「これでひと儲けできるんじゃない?」と言われるようになりました。それで、「確かにこれはビジネスになる。ビジネスを始める方法なら知っている」と考えました。

「私たちとビジネスをしたいと思う人には、新しいクリエイターであろうと、定評のあるクリエイターであろうと、誰にでも門戸を開きたいと思っています。他クリエイターのポットキャストが成功したら、自分のものは人気がなくなるだろう、という考え方はしない方が上手くいきます」
Tenderfoot TVの共同創設者、Donald Albright

AP:以前、ビジネスを拡大させている時期に仰っていましたよね。「Startup」というポッドキャストを聴いていると。それについてもう少し教えてもらえますか?

Albright:ええ、面白かったですよ。「Serial」と「Startup」ですね。Payneから、「『Serial』を聴いてみるといい。自分たちのビジネスについて、勉強するのは大切だからね」と言われました。ひらめきました。「なるほど。これはドキュメンタリーなんだ。ちょうど(Netflixの)『殺人者への道』のようなものだ。音声のみ、という点が違うだけだ」と気付きました。それから私は、「ちょっと調べさせてほしい」と言いました。

私は「Startup」を聴いてたくさんの素晴らしい情報を得ましたが、自分が目指す姿はAlex Blumberg氏(Gimlet Mediaの共同創設者兼ホスト)とは異なる、ともすぐに思いました。私はベンチャー投資家を売り込むためにサンフランシスコに行くようなことはしません。それは私の世界ではありません。私の本分は、自分のプロジェクトを推し進め、磨き、マーケティングを行うことです。

これはちょうど、インディーズのアーティストを流行らせようとしているようなものでした。それで私は思いました。「『Up and Vanished』は僕たちのアルバムだ。Payne Lindseyは僕たちのアーティストだ。Tenderfoot TVは僕たちのインディーズレーベルだ。音楽業界で何年も学んだことをすべて取り入れ、それをポッドキャスティングに注ぎ込もう」と。

2017年、私たちはPodcast Movementに参加しました。レコードレーベルのようないでたちで。Tシャツを着て、プロモーションを行うファンを引き連れているし、デコレーションしたトラックで乗りつけたし、ね。ラッパーをプロモーションするときのようでしょ?多分、気分を害した人もいたことでしょう。

AP:ミュージシャンのプロモーションとマネジメントの経験は、ポッドキャスティングの分野でどのように役立ちましたか?

Albright:自分が何者で、他にはない自分の強みが何かを理解する、というのは誰にとっても必要なことです。私たちの強みは、音楽ビジネスの経験でした。私は音楽ビジネスの「型」を理解しています。アーティスト、アルバム、インディーズレーベルの型をね。アーティストはアルバムを作る独自の手法を持っている必要があります。そして、レーベルや会社は、各自が2〜3枚のアルバムを制作できるアーティスト数人を中心に構成する必要があります。

失敗を理解してそこから学び成長するために音楽業界で取ってきた戦略が、ポットキャスティングにそのまま適用できたのです。失敗したときは、その失敗をしっかりと理解して分析する必要があります。誰かから教えてもらうのではなく、自分自身で学ぶ必要があるんです。

AP:失敗から学んだ例はありますか?

Albright:いや、もう、たくさんありますよ。スポンサーと1年間の広告契約を結んだことがありました。その後、ビジネスが急成長したんです。半年でダウンロード数が10倍になったことがわかりました。この広告枠は250ドルで販売していました。でもその後、同じエピソード内の別の広告枠を、別の会社には25,000ドルで販売できるようになったんです。

これはビジネス上の教訓でしたが、この失敗を経験するまでは決して学ぶことができないものでした。でも、今なら理解できますし、営業部隊もいます。業界の今の状況に対応するのではなく、業界の今後の状況を考えることができています。

AP:大切なことを学んだ経験でしたね。その経験は、サブスクリプションへのアプローチにどのように影響しましたか?

Albright:クリエイターには、ポッドキャストをたくさん配信する以外に収益を上げる方法が必要です。小規模なポッドキャストでは、サブスクリプションのメリットを最大限に活かす必要があります。

かつて、サブスクリプションは格好悪いことでした。自分がリスナーだったらしないことをリスナーにしろとは言えないですよね?最初にApple Podcastサブスクリプションの宣伝文句を聞いたとき、「『このボタンをクリックすると、プレミアムコンテンツを入手できます』というのは、まさに自分たちにぴったりだ」と感じました。

AP:オーディエンスが移行にためらうようなことはありましたか?

Albright:そうですね、リスナーがどう受け取るか、というのがどんな時も一番の壁となりますよね。内容をリスナーが十分に理解していないだけであることも多いものです。オーディエンスがメリットを理解できるように、価格設定の方法と価格の伝え方を学ぶ必要がありました。ぼったくりではありません。コンサートで出迎えるような感じですよね。何か付加的なもの、より深いものを、欲しい人に提供しているんです。

AP:サブスクリプションは、全体的なビジネスアプローチにどのように影響を及ぼしていますか?

Albright:広告がなくなってしまうとは思わないし、そうなるべきでもないと思います。そうですよね?でも、サブスクリプションは、私たちのコンテンツの作り方を変えています。広告業界での評判に反するようなことをやるということではなく、商品を望む人に直接売る、ということです。サブスクリプションだけの番組を求めていくつもりです。「Tenderfoot+」の番組として、一気見したくなるようなものをリリースしたいと思っています。

リスナーからの反応は肯定的なものが圧倒的に多いです。現在、30日間の無料トライアルを行っています。私たちの過去の番組を連続視聴してもらい、良さを知ってもらえればと思っているんです。これは非常にうまくいっています。

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AP:Tenderfoot TVはどのように業界を変えている、さらには業界を形作るのに役立っていると思いますか?

Albright:私は、Tenderfootが前例になってほしいと思っています。私たちとビジネスをしたいと思う人には、新しいクリエイターであろうと、定評のあるクリエイターであろうと、あるいはポッドキャストプラットフォームであろうと、誰にでも門戸を開きたいと思っています。他クリエイターのポットキャストが成功したら、自分のものは人気がなくなるだろう、という考え方はしない方が上手くいきます。成功事例は皆で学ぶのが良いのです。

「人と違う部分はなんであれ、伸ばすのが良いです。自分が成功したいと思う業界を作り出せるようになりますから」
Tenderfoot TVの共同創設者、Donald Albright

Albright:それは実際には、強みです。弱みではありません。特に新しい業界では、皆が新しい人々、新しいアイデア、新しいアプローチに関心を持つでしょう。そうした中では目立つ存在になれるんですよ。人と違う部分はなんであれ、伸ばすのが良いです。自分が成功したいと思う業界を作り出せるようになりますから。

業界を作るのはコンテンツであり、コンテンツに先行するルールが業界を作るわけではありません。業界では、音楽についていろんなことが言われてきました。しかし、過去10年間にレーベルに起きたことを見てください。誰が主導権を握っていますか?アーティストです。コンテンツをサポートするために業界自体が戦略を変えるか、コンテンツが業界なしで生き残るかのどちらかなのです。

Tenderfoot+」のサブスクリプションに登録して、Tenderfoot TVの才能あふれるスタッフや、「Radio Rental」、「Up and Vanished」、「To Live and Die in LA」などの番組をサポートしましょう。広告なしで番組を楽しめるほか、Apple Podcastだけの限定コンテンツを視聴できます。「Tenderfoot+」のサブスクリプションは月額4.99ドルです。